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ものづくり起業で最初につまずく「売上と資金の計画」、こう考えれば整理できます

スタッフブログ

2026.04.17

〜「単価×個数」だけじゃない。チャネルと入金タイミングで考える〜

ものづくりの創業相談を受けていると、「商品は作れる。でも、どう売るか・いくら稼げるかが全然見えない」という声を本当によくお聞きします。

計画が立てられないのはセンスがないからではありません。

整理の仕方を知らないだけです。

今回は、その「整理の仕方」をお伝えします。

よくある誤解:「売上=単価×個数」では足りない

「売上計画を立てましょう」というと、多くの創業者の方は「月に何個売れれば、いくらになる」という計算をされます。

これ自体は間違いではありません。

ただ、それだけでは現実の資金繰りとかなりズレが生じます。

実際の売上には、次の3つの「見落とし」が生じやすいポイントがあります。

チャネルごとに「手取り」が変わる

同じ商品を1,000円で売っても、どこで売るかによって手元に残るお金は大きく異なります。

自社ECサイトで売れば決済手数料(約3%)で済みますが、Amazonなら8〜15%のモール手数料がかかります。

セレクトショップへ卸す場合は定価の40〜60%が卸値になるため、粗利はさらに薄くなります。

ライセンスが絡むと収支構造が変わる

人気キャラクターや有名ブランドのデザインを使って商品を作る場合(ライセンスを受ける場合)、売上に対してロイヤリティ(使用料)を支払う必要があります。

ロイヤリティは一般的に売上の3〜15%程度で、しかも「最低保証料(ミニマムギャランティ)」として契約時に一定額を確約するケースが多く、売れなくても支払いが発生します。

この点を資金計画に織り込んでいない方が非常に多いです。

逆に、自社のブランド・技術・デザインを他社に使用させてロイヤリティをもらう立場(ライセンスを与える側)になれると、製品販売とは別の安定した収益の柱になります。

事業の成長とともに視野に入れておきたいポイントです。

「売れた日」と「お金が入る日」は違う

ものづくり事業のキャッシュフローには、構造的なタイムラグがあります。材料費・外注費は先払いが多い一方、売上の入金は後からやってきます。

特にBtoB(企業向け)取引では、請求後30〜60日後の入金が一般的です。

クラウドファンディングでの先行販売も、プロジェクト終了後1〜2ヶ月は資金が入ってきません。

「売上は立っているのに現金がない」――これがものづくり創業者が陥りやすい資金繰りの落とし穴です。

事業が成長しているのに資金が詰まるという、いわゆる「成長倒産(黒字倒産)」の芽はここから生まれます。

チャネル別「手取り粗利」と「現金化タイミング」一覧

販路(チャネル)ごとに、手取り粗利の計算方法と現金化のタイミングを整理すると次のようになります。

チャネル手取り粗利の計算式粗利水準現金化のタイミング
自社ECサイト売上 ー 原価 ー 送料 ー 決済手数料(約3%)高め(手数料が少ない)翌月〜翌々月
Amazon・楽天等売上 ー 原価 ー 送料 ー モール手数料(8〜15%)やや低め2週間ごと締め
卸・セレクトショップ卸値 ー 原価(定価の40〜60%が卸値相場)薄い場合も多い請求後30〜60日後
マルシェ・直販イベント売上 ー 原価 ー 出店料高め当日現金
ライセンス受け(使用側)売上 ー 原価 ー ロイヤリティ(売上の3〜15%)ロイヤリティ分だけ低くなるチャネルに依存
ライセンス与え(付与側)ロイヤリティ収入(固定費 or 売上連動)ほぼ利益契約条件による

この表を自分のビジネスに当てはめて埋めていくだけで、売上計画の精度はぐっと上がります。「どのチャネルを主力にするか」という判断にも直結します。

5つの問いで「売上・資金計画」の骨格をつくる

難しく考えすぎなくて大丈夫です。以下の5つの問いに順番に答えていくだけで、計画の骨格はほぼ完成します。

ステップ問いポイント
STEP 1何を・いくらで・誰に売りますか?商品・単価・ターゲット顧客を明確にする。「誰に売るか」が曖昧なまま進むと、価格も販路も迷走します。
STEP 2どこで売りますか?(チャネルは?)EC・卸・直販・ライセンスなど、販路を具体的に決める。最初から複数チャネルに手を出すと消耗します。
STEP 3チャネルごとの手取りはいくらですか?手数料・ロイヤリティ・送料を引いた「実際の粗利」を確認。売上の数字よりも手取りで考える癖をつける。
STEP 4お金はいつ入ってきますか?チャネルごとの入金タイミングを把握する。「売上は立ったのに現金がない」という状況を防ぐために必須。
STEP 5材料費・在庫はいつ・いくら必要ですか?先に出るお金を把握する。STEP4と突き合わせると「いつ資金が足りなくなるか」が見えてくる。

STEP 4とSTEP 5を突き合わせることで、「いつ・いくら資金が必要か」という資金繰りの全体像が見えてきます。これが融資申請や補助金活用のタイミングを考えるうえでの基礎になります。

ものづくり創業者が活用できる支援リソース(三鷹・多摩エリア)

計画を一人で作るのが難しければ、専門家や支援機関に頼ることが近道です。三鷹・多摩エリアには、次のような支援リソースが揃っています。

支援機関・制度活用できる内容
TOKYO創業ステーションTAMA(立川)プランコンサルタントによる無料の創業伴走相談。売上・資金計画の策定から融資準備まで対応
まちづくり三鷹経営相談窓口、専門家紹介、インキュベーション施設の活用、地域密着の経営支援・ICT活用支援。地域コミュニティとのつながりをつくる場としても機能
三鷹市産業振興課創業融資あっせん、補助金情報、事業計画相談
日本政策金融公庫(創業融資)無担保・無保証人で利用できる新創業融資制度。ものづくり創業者の資金調達に最適
東京都の創業助成事業都内の創業予定者・創業者(5年以内)を対象に、創業初期に必要な経費の一部を助成
小規模事業者持続化補助金EC構築・展示会出展・広告費など販路開拓費用に活用可能
ものづくり補助金試作・設備投資費用に活用可能

補助金は「後払い」が原則のため、自己資金や融資との組み合わせが必要です。「補助金が採択されたのに資金が足りない」とならないよう、申請前から資金計画を立てておくことが重要です。

まとめ:難しく考えすぎず、「自分の数字」を一緒に埋めていく

売上・資金計画が難しく感じる理由は、チャネルが複数あり、ライセンスが絡み、入金タイミングがバラバラだからです。

しかし構造そのものはシンプルです。「誰から・いつ・いくら入るか」と「いつ・いくら出るか」を整理するだけです。

難しい理論より、「自分の数字をここに書いてみる」という体験の方がずっと効果的です。

一人で悩むより、伴走してくれる専門家と一緒に取り組むことで、計画の精度も意思決定のスピードも大きく変わります。

三鷹・多摩エリアでものづくり創業を考えている方のご相談を受け付けています。

「まだ構想段階」でも大丈夫です。一緒に「自分の数字」を整理するところから始めましょう。

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