補助金を探す方法を解説。公式サイト・支援機関・専門サイトの使い方に加え、戦略的に活用する視点を中小企業診断士が紹介。
補助金の探し方|中小企業が使える補助金を見つける戦略的アプローチ
「補助金を使いたいけれど、どの制度が自社に合うのか分からない」——多くの中小企業経営者が直面する悩みです。
実際、国や自治体、業界団体が提供する補助金は数多くありますが、情報は分散しており、探すだけでも一苦労。さらに「駆け込み」で申請すると、準備不足のまま不採択になるケースも少なくありません。
本記事では、中小企業診断士としてEV関連企業やブロックチェーン関連企業の補助金支援を行ってきた経験をもとに、補助金の探し方を体系的に解説します。加えて、ただ探すだけでなく「戦略から準備する重要性」にも焦点を当てます。
補助金の基本を理解する
補助金と助成金の違い
まず押さえておきたいのは「補助金」と「助成金」は異なる制度だという点です。
補助金:審査を経て採択された企業のみが受給できる。事業計画の質や戦略性が問われる。
助成金:条件を満たせば原則受給できる。雇用関連が多く、競争性は低め。
補助金は競争的であるからこそ、準備不足だと不採択につながります。
補助金の種類
補助金には次のような種類があります。
国の補助金:事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金など。
都道府県・市区町村の補助金:地域特有のニーズに応じた制度。
業界団体の補助制度:特定業界を対象にしたもの。
補助金の主な探し方3選
① 公式情報源から探す
最も信頼性が高いのは、国や自治体の公式サイトです。
・ミラサポplus(中小企業庁):全国の主要な補助金情報を網羅。
・J-Net21(中小機構):カテゴリ別に支援制度を探せる。
・自治体の産業振興課サイト:地域密着型の補助金情報が見つかる。
公式情報源のメリットは「正確性」と「最新性」です。
② 支援機関を活用する
制度情報は自力で探せる一方、「自社に適しているか」を判断するのは難しいものです。そこで役立つのが支援機関です。
・商工会議所・商工会:地域に根ざした情報提供。
・金融機関:融資相談と併せて補助金情報を提供。
・中小企業診断士:戦略と制度を結びつけ、申請をサポート。
実際に私も、経営者から「補助金の種類は分かったけど、どれを選べばよいかが分からない」と相談を受けることが多くあります。
③ 専門ポータルやマッチングサービスを利用する
インターネットには補助金情報をまとめたポータルサイトも存在します。
・補助金ポータルサイト
・専門事務所が運営する検索サービス
こうしたサイトは便利ですが、正確性や更新頻度に差があるため、利用の際は注意が必要です。
探すだけでは不十分!補助金を選ぶ視点
補助金は「探す」だけでは不十分です。「どの制度が自社の戦略に合うか」を見極めなければなりません。
<金額や補助率だけで判断しない>
「補助率が高いから」「金額が大きいから」といった理由だけで選ぶのは危険です。条件が厳しく、結果的に不採択となることもあります。
<戦略との整合性を重視する>
補助金はあくまで「戦略実行の加速装置」です。戦略と補助金の方向性が合致していなければ意味がありません。
<持続可能性を確認する>
補助金がなくても成立する計画であるかをチェックしましょう。補助金がなくなった途端に立ち行かなくなる計画は、審査側にも不安を与えます。
実際の支援事例に学ぶ補助金活用
EV関連企業のケース
EV部品の開発を進める企業では、ものづくり補助金を活用。
事業計画を先に練り、補助金はその実現を後押しする形としました。その結果、計画は高く評価され採択されました。
ブロックチェーン関連企業のケース
新規サービス開発を目指した企業では、事業再構築補助金を活用。
「補助金ありき」ではなく「事業戦略ありき」で構想を立てたことで、採択だけでなく、その後の事業展開もスムーズに進みました。
事業計画書と補助金の関係
補助金の申請には、必ず事業計画書が求められます。
計画書は単なる書類ではなく、戦略を具体化する“翻訳ツール”です。
押さえるべきポイント
数値根拠:市場調査・顧客データに基づく売上予測
実行体制:人員配置・役割分担を明確にする
補助金がなくても成立する:自社の覚悟と持続性を示す
補助金を戦略的に活用するために
・駆け込み申請は失敗のもと
・補助金は経営戦略の加速装置
・早期に専門家へ相談することが成功の近道
補助金を“探す”ことは第一歩にすぎません。重要なのは、「未来像を描き、補助金をその実現のためにどう活用するか」という視点です。
まとめ:補助金探しから戦略づくりへ
・補助金は探し方を知れば見つかる
・ただし「選び方」が成否を分ける
・戦略と補助金の整合性を意識することが不可欠
👉 今日できる一歩は、「5年後、10年後に自社をどうしたいか」を紙に書き出すことです。そこから補助金の活用余地が見えてきます。
FAQ
Q1. 補助金はどこで調べるのが効率的ですか?
A. ミラサポplusやJ-Net21など、公式サイトの活用が第一歩です。
Q2. 採択されやすい補助金はありますか?
A. 「採択されやすい」補助金は存在しません。大事なのは自社戦略との整合性です。
Q3. 補助金の準備はいつ始めるべきですか?
A. 補助金の公募が始まってからでは遅い場合が多いです。日頃から事業計画を整備しておくことが重要です。