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「理念・ビジョンは大事」とわかっていても動けない経営者へ——ビズクリのインタビュー記事に参加して、あらためて伝えたいこと

スタッフブログ

2026.06.06

先日、私がサポーターとして参画している経営支援プラットフォーム「ビズクリ」のメディアに、インタビュー記事を掲載いただきました。テーマは「理念・ビジョン・経営戦略」。私を含む4名のサポーターが、経営者の方々からよく寄せられる疑問に答える形式の記事です。

今回のブログでは、その記事をあらためて読み解きながら、私自身の視点を少し加えて解説してみます。「理念・ビジョンの必要性はわかる、でも動けない」という経営者の方にこそ、届いてほしい内容です。


4人のサポーター、それぞれが「同じ問い」に異なる角度で答えていた

インタビュー記事には、私のほかに礒亮次さん、藤原正幸さん、松元孝宣さんという3名のコンサルタントが参加されています。全員が「理念・ビジョンは重要だ」という結論に至りながらも、そこに至るロジックと表現が見事にバラバラでした。

読んでみて率直に感じたのは、「正解は一つではない」ということが、複数の専門家の声によってかえって明確になっている、ということです。これはQ&A形式のインタビューならではの強みだと思います。


「理念・ビジョンがないとどうなるか」——私が一番言いたかったこと

記事の中で私はこのように答えています。

「理念・ビジョンを言語化していない場合、なぜその仕事・事業をしているのか、なぜ世の中に必要とされているのかといった存在意義が自分でもわからなくなってしまいます」

これは、日々の支援現場でリアルに感じていることです。難しい経営判断——たとえば新規事業への投資判断、採用の可否、事業の縮小・撤退——に直面したとき、「なぜこの会社は存在しているのか」という軸がなければ、答えを出しようがありません。

さらに言えば、それは経営者個人の問題にとどまりません。判断軸が言葉になっていないと、社員・取引先・金融機関といったステークホルダーにも「この会社はどこへ向かっているのか」が伝わらない。そうなると、人がついてこなくなる。採用も、融資も、営業も、すべてに響いてきます。

他のサポーターの回答も、それぞれ違う言い方でこの点を指摘しています。

松元さんは「場当たり的な経営判断」「現場で意思決定ができない」という実務上の問題として整理し、藤原さんは「組織のスケールアップ時の足かせになる」という成長フェーズの問題として語っています。どれも本質的には同じ話ですが、「うちはまだ小さいから関係ない」と思っている経営者には、藤原さんの言い方が刺さるかもしれない。いまは回っていても、人が増えたとたんにガタが来るのが、理念・ビジョン不在の組織の典型パターンです。


「忙しくて理念づくりに時間が割けない」——これは構造の問題です

この問いに対する私の回答は、ある意味では逆説的です。

「月に一回1時間でも理念・ビジョンについて誰かと話す時間をあらかじめセットしておく。仕組みによって解決しましょう」

「時間がないから後回し」という発想自体が、理念不在の症状だと思っています。何を優先するかが決まっていないから、重要だけど緊急でないことが常に後回しになる。

松元さんがこの点をさらに鋭く指摘しています。「理念・ビジョンや経営戦略は、時間ができたらやる仕事ではなく、時間をつくるためにやる仕事です」。この一文は、そのままクライアントへの言葉として使えるほど的を射ています。

礒さんの「まず『やらないこと』を決める」というアプローチも実践的です。理念・ビジョンを大上段に構えて「わが社の存在意義を考えよう」と始めるより、「これはやらなくていい、なぜなら…」と問い直していくほうが、実は理念の核心に近づきやすい。捨てる理由を言葉にすることが、残すべき価値観を浮き彫りにするのです。


「支援者を入れる意義」——AIだけでは補えないもの

記事の中で私はこのように述べています。

「今後ますます生成AIが普及していくと『回答が煮詰まってきたから人と話したい』『それっぽい言葉にはなったが、なんだか自社にフィットしていない気がする』といったシーンが増えてくるでしょう。そうした時にビズクリサポーターのような支援者の存在を思い出してもらえたら」

これは、AIを否定しているわけではありません。むしろ私自身、支援現場でも生成AIを積極的に活用しています。理念・ビジョンの言語化においても、AIに情報をインプットして草案を出してもらうことは十分に有効です。

ただ、AIが生成した言葉は「それっぽい正解」に収束しやすいという特性があります。ウェブ上の無数の企業理念を学習しているわけですから、「顧客第一」「社会への貢献」「誠実に」といった言葉が並ぶのは自然なことです。でも経営者が「なんか違う」と感じるとき、その違和感は正しい。その違和感を言語化し、自社にしかない言葉に変えていくプロセスこそが、支援者の仕事です。

藤原さんは「単なる”お飾り”で終わらせず、企業の成長を牽引する”資産”へと昇華させる」と表現しています。この視点は非常に重要で、理念・ビジョンは完成した瞬間に価値があるのではなく、経営判断の場面で繰り返し使われることで資産になるのだということを、支援者と一緒に形にするプロセスの中で実感してもらえるかどうかが鍵です。


「何を自分で決め、何を任せるか」——これも、理念の問題です

インタビューの最後のQ「自分で決定すること・他者に頼ることの切り分け」も、よく経営者から聞かれる問いです。

私の回答をあらためて整理するとこうなります。

  • 「思考する・実行する」は経営者の領域。丸投げは機能しない
  • 時間とリソースを踏まえて、内製するものと外注するものを切り分ける
  • 支援者は「壁打ち相手」「翻訳家」「伴走者」として使う

礒さんが「常に自分はこうだと思うという仮説を持った上で、第三者の意見を取り入れること」と述べているのも、同じ構造です。情熱も仮説もないまま専門家の話を聞いても、借り物の戦略にしかなりません。

「自分の言葉で語れるかどうか」が、理念・ビジョンの実効性を決める。これが、私が支援の現場で最も大切にしていることです。


まとめ——「迷いを決断に変える」ための最初の一歩

私がco-ing経営支援事務所として掲げているのは、「話すことで、頭が整理される」という伴走支援のスタンスです。

理念・ビジョンづくりも同じで、最初から完璧な言葉を目指す必要はありません。まず「なぜこの事業をしているのか」を誰かに話してみること、「自分がやりたくないことは何か」を声に出してみること——そういう小さな積み重ねの中から、自社にしかない言葉が生まれてきます。

ビズクリの記事では、4名のサポーターがそれぞれの視点でその道筋を示しています。ぜひ本文もあわせてご覧ください。

👉 記事を読む(ビズクリ)


co-ing経営支援事務所 倉島悠輔 中小企業診断士・行政書士・認定経営革新等支援機関 三鷹・多摩エリアを中心に、経営戦略策定・補助金申請・創業支援などを手掛けています。 初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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