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「なぜやるのか」が言語化できると、経営の判断が変わる|ドラッカーの5つの質問を、起業後の視点で読み直す

スタッフブログ

2026.07.30

少し前になりますが、私が相談員を務めるTOKYO創業ステーションTAMAの公式ブログ「創業羅針盤Blog」に、記事を寄稿しました。

「起業前に自分に問いかけてほしい5つの質問 ── ドラッカーが教える『なぜやるのか』の見つけ方」

まだお読みでない方は、ぜひ先にそちらをご覧ください。今回のこの記事は、あの記事の「続き」として書いています。

起業前に自分に問いかけてほしい5つの質問(TOKYO創業ステーションTAMA 創業羅針盤Blog)


「起業前」の問いは、起業後も終わらない

創業羅針盤Blog記事では、ドラッカーの「5つの質問」を起業前の方に向けて解説しました。

  • 質問1:われわれのミッション(使命)は何か?
  • 質問2:われわれの顧客は誰か?
  • 質問3:顧客にとっての価値は何か?
  • 質問4:われわれの成果は何か?
  • 質問5:われわれの計画は何か?

この5つは、事業の「なぜやるのか」「誰のためにやるのか」「何を届けるのか」を問い直すための質問です。記事では「起業前に向き合ってほしい」と書きましたが、これは起業した後も同じように問い続けるべきものです。

むしろ、創業から数年が経った経営者こそ、この問いへの答えが揺らいでいることが多い、というのが私の実感です。


経営が「迷走」するとき、たいてい答えが曖昧になっている

創業当初は、ミッションも顧客も価値も、経営者の頭の中にクリアにあります。自分が「なぜこれをやるのか」「誰の役に立ちたいのか」を、全身で感じながら動いています。

ところが、事業が軌道に乗り始めると、状況が変わっていきます。

売上を追いかけるうちに、最初は想定していなかった顧客層に対応し始める。スタッフが増えると、自分の代わりに顧客と接する人が生まれる。新しいサービスや商品を追加するうちに、何を本業としているのかが曖昧になる。

こうした変化は、事業が成長している証拠でもあります。しかしそのまま放置すると、経営の「軸」が見えにくくなり、判断に迷いが生じます。

「売上が下がっているわけではないのに、何となく経営の方向感がつかめない」

そういう状態の経営者が、ドラッカーの5つの質問に向き合うと、たいてい「質問2(顧客は誰か)」か「質問3(顧客にとっての価値は何か)」のあたりで手が止まります。


「顧客は誰か」という問いが、最もずれやすい

創業羅針盤Blog記事でも触れましたが、「顧客は誰か」という問いは、事業を設計する上で最も影響範囲が広い問いです。

そしてこれが、時間とともに最もずれやすい問いでもあります。

たとえば。

創業当初は「30代の子育て中の女性」をターゲットにしていた事業が、紹介で40代・50代の顧客が増えてくる。対応しているうちに、サービスの内容も価格も変わってくる。でも「ターゲットが変わった」という認識はなく、何となく「どんな方にも対応しています」という状態になっていく。

こうなると、Webサイトのメッセージも、サービスの設計も、料金体系も、誰かに刺さらない「ぼんやりとした何か」になっていきます。


「成果は何か」という問いで、事業の再定義ができる

質問4「われわれの成果は何か」も、創業後の経営者にとって重要な問いです。

創業羅針盤Blog記事では「売上や利益だけでなく、顧客や社会にどんな変化をもたらしたかが問われている」と書きました。これは創業後も同じで、むしろ「自社の成果を売上以外の言葉で語れるか」が、事業のブランドや価格設定に直結してきます。

「うちのサービスを利用した人は、こう変わった」という言葉が自分の言葉で語れるとき、それはそのまま営業の軸になり、採用の軸になり、補助金申請の事業計画書の軸にもなります。

逆に言えば、事業計画書に説得力がない、という問題の多くは、この「成果」の言語化が弱いところから来ています。


「計画は何か」は、毎年更新されるべきもの

質問5「われわれの計画は何か」は、起業前に一度立てたらおしまい、ではありません。

経営環境は変わります。顧客も変わります。自分自身も変わります。

だからこそ、年に一度は5つの質問に立ち返り、「今の自分の答えはどうか」を確認する習慣が、経営の安定につながります。

この確認作業を一人でやると、どうしても「現状の正当化」になりやすいという落とし穴があります。自分が見たいものだけを見て、問題のある部分を無意識に避けてしまう。

だからこそ、第三者との対話が有効です。


話すことで、迷いは決断に変わる

創業羅針盤Blog記事の最後にも書きましたが、「一人で考え込むだけでは、思考の視野が狭くなる」というのは、起業前だけでなく、起業後の経営者にも同じように当てはまります。

co-ing経営支援事務所では、中小企業診断士として、経営の「軸」を一緒に言語化する対話型の支援を行っています。

「売上の数字は追えているが、どこに向かっているのか見えなくなってきた」

「新しい事業をやりたいが、今の事業との整合性が取れているか確認したい」

「補助金や融資の申請書を書こうとしたら、自分の言葉で事業を語れないことに気づいた」

こうした状況にある経営者の方の、最初の対話相手になることが私の役割だと思っています。

ドラッカーの5つの質問を、一緒に問い直してみませんか。

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